社長インタビュー

Q1会社の概要について教えてください。

2020年12月時点で全国に賃貸用不動産を259棟保有しています。東京都心5区の駅から3分以内という物件が過半で、立地の良さから空室率は1%を下回る水準です。築年数の古くなった都心の不動産の建て替えや、新規物件の取得を通じて賃貸面積を増やし成長してきました。核となる物件には歴史的背景もありみずほフィナンシャルグループがテナントとして入る銀行の店舗や社宅が多くあります。最近は人口動態に合わせる形で高齢者住宅、商業施設、観光用ホテルへの転換が増えつつあります。

Q22008年の東証一部上場以来増益増配を続けています。

中長期的な利益成長を意識して経営をしています。コロナ禍においても増益を確保し、2020年は史上最高益を更新しました。5年先の人口の変化や景気の状況を精緻に予測しながら経営資源の選択と集中を図り、景気の波に左右されない強固な事業基盤を築くことを心がけてきました。また少人数での効率経営を目指しており、一人当たりの利益は上場会社の中でも傑出しています。

Q3東京の不動産は価格上昇が続いている一方、経済全体では日銀が目標としていた程度のインフレもおきていません。不動産市場をどう見ていますか?

不動産価格については、人口動態を反映して都心の好立地の物件の価格上昇が大きく、そうでないものとの格差は開いていると感じます。海外投資家や国内リートによる不動産取得意欲は強く、都心の好立地の不動産の時価は上昇しています。一方で郊外や地方の不動産にはそれほど大きな変化はありません。当社は東京の都心5区を中心に投資開発対象を絞っていますので、大きなメリットを享受し、利益成長を続けています。

Q4オフィスビルの大きさにもこだわりがあるとか?

オフィスについては中規模ビルに経営資源を集中していきます。多くの国内大企業は自己不動産を保有しており、グローバル大企業はアジア本部を法人税が安く英語が通じる香港・シンガポールに移していることから大規模ビルの需要はそれほど強くなく、テナントの誘致は厳しい状況が続くでしょう。日本の企業数の99%は中小企業です。潜在テナントを計算できる中規模で且つ「東京の都心5区の駅から3分以内」の立地にこだわることで差別化を図り、圧倒的に低い空室率を維持したいと思います。

Q5テナントはどんなところが多いのでしょう?

歴史的背景からみずほ銀行の店舗が賃料収入ベースで全体の16%です。住宅系は企業に社宅として貸している他、賃貸マンションや高齢者施設は業者にサブリースしており、空室リスクは負いません。リーシングは長期契約が多く非常に安定しています。

Q6日本の人口減少や高齢化は不動産にどう影響してくるのでしょうか?

人口減と高齢化の中、オフィス需要は減っていくのは自然な流れです。当社は成長分野として3K(高齢者・健康、観光、環境)ビジネスを推進していきたいと考えています。

Q7海外投資についての考え方は

ロンドンの中規模オフィスビルはイギリスのEU離脱に関する国民投票の前の2015年中に売却し大きな利益を得ました。その一部は円安の恩恵によるもので、海外投資には様々な制御できないリスクがあることも学びました。日本の人口減への危機感から各社は海外投資計画を倍増させていますが、資本力やノウハウがないと大きなリスクが伴います。当社は3Kビジネスを戦略の中心に据え、国内での安定成長分野への投資に当面注力したいと考えています。

Q8マンション開発や販売を行なっていない数少ない不動産デベロッパーです。

当社では住宅の開発や販売は行いません。人口減により空き家問題は今後さらに社会問題化し、住宅が高成長を維持できる確率は低いと考えています。一方で核家族化の進行により、都心のシングルファミリー用のアパートや企業の社員寮には安定した需要が続くと考えますから、賃貸マンション事業はサブリース(企業への一棟貸し)することでリスクをヘッジしながら行っていきます。

Q92015年末にはシンプレックスグループへの大型M&A、2019年には日本ビューホテル(株)を買収しています。今後もM&Aによる資産拡大の戦略は継続するのですか?

M&Aでは規模のメリットを短時間で享受できる一方で、負の遺産を引き継ぐことにもなります。合併後にその部分を上手くコントロールして成長につなげることができるかどうかが判断の決め手になるでしょう。

Q10財務面での主な指標を解説してください。

ROEは約13.4%で業界のトップ水準ですが、唯一の経営目標に掲げているわけではありません。財務の健全性と利益の成長と経営の効率性のバランスを保つことが重要と考えており、それぞれを業界のトップレベルに置くよう意識しています。高い自己資本比率*(約32.7%)や健全な負債資本倍率*(約1.7倍)を保ちながら利益成長を実現し、財務格付けは2014年にA+にアップグレードされました。

*2020年実施のハイブリッドファイナンス(社債)2,000億円のうち、50%(1,000億円)をみなし資本として算出(20/12末)

Q112021年の収益見込みを教えてください。

私は「経常利益」を経営の目標に据えています。これは本業の収益である「営業利益」のほかに、借入の支払利息が考慮されている一方で、有価証券や固定資産の売却等の特殊要因が排除されている健全な経営指標だからです。2020年はコロナ禍においても前年対比110億円増の956億円を達成しましたが、今年も更に増加を見込んでいます。

Q12中長期計画(2020年~2029年)の目玉は何ですか?

銀行店舗の建替え事業及び開発事業の加速化を図り、環境に配慮し、地震や災害に強い賃貸ポートフォリオの再構築を図ります。今後成長が見込まれる3K(高齢者・健康、観光、環境)事業及び4つ目にK(教育)に関わる不動産ビジネスを進化させてまいります。

Q13事業リスクはなんですか?

銀行からの借入がありますので、資金繰りのリスクや金利の上昇があります。低金利の調達のためには、高い業績を維持し今の高格付け(A+)を確保していく必要があります。マイナス金利の環境下、今後調達は10年固定金利を基本としデュレーションを延ばして金利上昇リスクをヘッジします。ビルを多く持っていますので地震も大きな風評リスクではありますが、理論的に震度7でも倒壊しない補修を行うこと、新規に竣工するビルにはできる限り免震や耐震の対策を施しています。

Q14社会への貢献(サステナビリティ)で事例がありましたら教えてください。

不動産会社として、「100年経っても価値の落ちないビル」を目標に、建替え、開発を行うビルには震災対策や環境を意識したさまざまな取り組みを導入しています。女性のキャリア開発にも積極的で、育児補助を含めたサポートでは日本のトップクラスを目指しています。日本障がい者バドミントン連盟のスポンサーとなり障がい者スポーツの支援を行っておりますし、将棋の大会協賛も行っております。「ヒューリック学生コンペ」を継続し学生の知的好奇心を引き出す企画など毎年新しい試みも増やしています。

(2021年1月28日)

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